策略に乗せられました

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「え、と…少し前に、事務員さんを雇われたかと由紀奈さんに聞きました…けど…」私が言い終わらないうちにオーナーは、はぁ…と軽くため息をついた。 「なんでそんな事を由紀奈に聞いたの」  少し不機嫌そうな口調。こんなオーナー初めてだ。 「隠しておく必要があったのですか?」 「事情があるっていったよね。察して欲しかったな」  セラピストとトラブルがあった元カノが新しい事務員だなんて、オーナーからはお聞きしていませんからね。 「すみません。商品の在庫の数が気になったので、その流れで」  私は何も知らないふりをして、真っ直ぐオーナーを見る。 「でも、由紀奈さんは『雇っていないんじゃない?』って事務員さんの存在を否定されていましたし、気がついていないと思います」  オーナーは頭を抱え、今度は深いため息をついた。 「どうやらその事務員が、誰かの嫌がらせを受けているみたいなんだ」  は?存在を知らないはずなのに?
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