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真っ赤であろう私の顔を見て、オーナーが吹き出す。
「やべ、可愛すぎ。嫌だったら突き飛ばして逃げて」
オーナーは握った手を引き寄せ、私の身体をぎゅっと抱きしめる。
ええっ!?
い、嫌じゃないけど、全然嫌じゃないけど、この状況が理解出来ず走って逃げたい!
まさかこれは夢?密かな願望が夢に出た!?
桜の花びらが舞い降りる中、尊敬して憧れて大好きな人が私を抱きしめて離さない。
オーナーの腕の中で鳴り響く心臓の音、火照る身体。
溶けだしているのではないかと思える程震える足腰。
私は自分の身体を支える体で、オーナーの背中に左手を回す。
「俺の部屋、この近くなんだけど…くる?」と私の耳元で囁く。
「い、行きたい…です」精一杯の意思表示。
緊張からか足をもつれさせながら5分程歩き、オーナーが住むアパートに到着した。
玄関に入ると、靴も脱がないままキスの応酬。
もう嬉し過ぎて涙が溢れた。
「このまま一緒にいたら、最後まで止める気はない。でも流されました、じゃ悲しいから……メイク落としてシャワー浴びて、一度落ち着いて考えて」と、オーナーは私に化粧品サンプル一式を手渡す。
あ、コレ新製品のラインナップだ。しかも高いやつ。
ちゃんと私は自分の意思でここにいるわけだけど、新製品も試したいので言われるままお風呂場を借りることにした。
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