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第8話 イケメンの告白の破壊力
しばし見つめ合っての沈黙。先に口を開いたのは黒須だった。
「好きなんだよ、谷川のこと。もうずっと、しつこく」
イケメンに真っ直ぐ見つめられて告白されるのは初めて。黒須はイケメンだ、誰がどう見てもイケメン、見慣れて当たり前に受け入れてきたけどイケメンなの!イケメンなんだって!イケメンすぎるな!!
「へ……へぇ、そう、なの?し、知らなかった」
情けないが動揺で声が上ずく。
「ね?ぜんっぜん気づいてないよな、なんで?」
「なんでって……こっちが聞きたいけど」
やっぱり動揺を隠せなくて平静を装うとしているのさえバレバレな程声が震える。
黒須が私を好きだった?
嘘でしょ?
「本当はさー、もっとちゃんと告白してって色々思ってたんだけどなー……あんな谷川前にして無理じゃん、無理だよ、無理なんだって」
言い訳みたいになんか無理無理言う黒須に何も言えない、ただビックリして言葉が出ないだけだけど。
「もう絶対強い酒飲むの禁止な、俺の前以外で飲むのも絶対ダメ、可愛すぎ、ダメ」
「かわ、可愛いって……迷惑かけただけ……」
「あんな迷惑ならもういくらでも……」
「へ?!何言って……」
「可愛すぎたよ……キスしてって……もう思い出したんだろ?俺をどんな風に誘ったのか」
思い出してる……記憶がいきなりそこをフラッシュバックして悲しいくらい生々しい。
「誘った……わけじゃぁ……」
直視できなくて顔を両手で隠して俯いていたらその手を掴まれてしまう。
「思い出したんだろ?」
黒須が近づいてくる、人差し指で唇をなぞりながら聞いてくる。
「こうやって……誘ったじゃん」
黒須の人差し指がくちびるに触れる。そう――、私はこうやって黒須を誘った。
距離を取ろうとしていた黒須に近寄って、服を掴んで引っ張って、黒須の体ににじり寄り指で唇をなぞって言った。
「……チューしてよ……お願い」
「……ダメだって、酔った谷川にそんなこと」
「酔ってるからいいじゃん、覚えてないって言えばいいよ、忘れたって言えばいいじゃん」
「そんな……」
「ねぇ、チューしようよ、寂しい、もうずっと寂しい……抱いてよ」
「…………いや、でもやっぱり」
黒須は困っていた。押しつけるみたいな私の言葉に戸惑って困っていたのに。
「じゃあもういい」
「え」
そのまま私は自分の服を頭から脱いで黒須に迫った。
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