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黒須side-3
抱き締めた身体は柔らかくてびっくりするほどいい匂いがする。
酒のせいか火照った身体は汗ばんでいて、その湿った感じが無駄にエロい。そこに息を乱されて熱い吐息を吐かれたら神経がいくらでも切れていく。
ずっと好きだった。
好きで好きで、想い続けていただけの相手が今下着姿で俺の目の前にいる。
「下着、取っていい?」
「いいよ?」
何も抵抗せず、自らホックに手をかけてブラジャーを外す。俯きながら外したブラジャーを床へ放り投げたら髪の毛をファサッとかきあげて見上げてくる。
――えっろ。そんでどんだけ綺麗な身体してんだよ、胸、胸!デカい胸!!!!
白い肌に半球型の胸、薄めの乳輪の小さめの乳首が可愛い。
上はもう何も身に着けず、鎖骨当たりまで伸びて毛先を軽く巻いている髪の毛を手櫛でまとめて左肩に流しながら上目づかいで見上げてくる。
「……本当に抱くぞ?」
もう今更やめれない、やめたくないし、やめれる自信もない。
「いいよ?」
めちゃくちゃ可愛くそんな風に言って両手を広げて抱きついてきたから卒倒しそうになった。
谷川が、あの谷川が、真面目でちょっと融通も利かなくて、サバサバしてるくせに心配性の実は怖がりで。だから下準備とかもめっちゃしちゃうくらい適当なことはしない谷川が、こんな無防備な姿で俺を求めてくる。
触れたらもう終わった、可愛すぎて終わった。
喘ぎ声一つ溢されるだけで耳の神経やられそうなのに、どんどん喘ぐからどうしようかと思った。
「なんか、すごい感じやすいな……酒のせい?」
「は、ぁうっ……んん、あ!ダメダメ、イッ――」
濡れてる割れ目を指の腹で軽く触れるだけでも身体を震え上がらせて感じていく。
遠距離の彼氏とはそんなに会えないってぼやいてたもんな、そりゃセックスしてる間隔も開いてるから身体は欲しくなってるか。その時はそう思ったけど――。
「あん!やぁぁ、もうだめぇぇ!!」
――ちょっと待って、めちゃくちゃ感じるじゃん、なんで?
片思い歴も長いし基本チキンな俺だけど、なんにも女性経験がないわけじゃない。見てくれはいいからそれなりにモテてきて何人か彼女もいた。付き合っても好きと言われて付き合ってることが大半、もちろん嫌いじゃないから付き合ってる、いいなと思うものがあるから告白を受け入れた。
でも、本気で好きな子には結局思いを伝えられず終わってきている。だから、本命の子なんか一度も抱いたことがない。経験と言っても学生時代がメインだし、数人付き合ってきた彼女たちがここまで感じて身体を震えあがらせてくれた記憶なんかない。自分にそこまでの腕があったのか?いやきっとない、そう思っている。社会人になって、谷川を好きになってから誰とも付き合ってないし、当然セックスもご無沙汰。だから、無駄に緊張もしてるし気持ちよくさせるより必死が勝っていた。とにかく必死、夢中ともいうけど、目の前の大好きな子を抱いているその現実を確かめたくてそれだけで彼女を抱いていた。
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