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第4話 赤面できないのも年のせい?
頭が痛い……鈍い痛さ。
ズキズキよりかは鈍痛、じわーんと揺れるような痛み、これは……頭痛とはなんか違うな、そんなことを思いつつ体を起こした。
見慣れない部屋……色んなものが広くて大きい、まずはその印象がきて部屋の中をぐるっと見渡していたらガチャッと扉が開く音がした。部屋に入ってきたのは腰にバスタオルを巻いて上半身裸の黒須が立っている。
イケメンの上半身裸、濡れ髪腰だけバスタオル……目に毒ですけど。
(いや、むしろ目の保養?)
「きゃあ!」とか言って目元隠して赤面とかせず、ガン見してなんなら品定めレベルで見るとかもうやっぱり私は若くない。そんな可愛い乙女ではないのだ。
「起きた?」
「……なんで?」
「……どこまで記憶飛んでる?」
ほぼないかもしれない、そんな事言ったら怒られそうで言えないけれど。
「えっと……えっとぉ……バーで、お酒を飲んで……だいぶ、絡んだね?黒須に」
「おう」
「そんでえっとぉ、えーっとぉ……タクシーに乗った」
「乗ってねぇ」
もう私の記憶がほぼないことはバレた。
「これってさ、その……事後?」
「自分の身体でわかんないの?」
「うーん、身体より頭の方が痛いのが勝ってて……あんまりよくわかんない、かな」
「……」
わしゃわしゃとタオルで髪の毛を拭いている黒須の表情はよく見えない。雰囲気からは怒ってる感じも取れる、呆れた風にも感じる。とりあえず、ガッカリさせたんだろうなと思った。
親しくしていた同期と飲んでて絡まれて色んな後始末と飛ばっちりを受けた、最悪だ。
そう思っているに違いない。
「ごめん」
「え?なにごめん?」
「全部」
「全部ってなんだよ。覚えてないのに何謝ってんの?あ、覚えてなくてごめんてこと?」
「それはもう最たることだけど……迷惑かけて、ごめん」
黒須からしたら迷惑以外ないだろう。
「あんだけ酔ってりゃなぁー、それはそれなりに覚悟してたけど……実際本当に覚えてませんって結構ショックな」
「ごめんなさい」
「あの谷川は酒に酔ってないと現れないっつーことだよなぁ……シラフで見たかったな」
「え?」
ギシッとベッドに腰掛けてきた黒須。
濡れた髪、程よい筋肉質な二の腕、背中から腰にかけての曲線美がやたら綺麗で、バスタオル一枚の黒須は文句のつけようがないほど色っぽかった。
「思い出せるなら思い出してほしいから、おさらいすっか」
ベッドの上で二人で記憶の呼び起こしが始まった。
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