プロローグ

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プロローグ

 もう連絡はひと月来ない。  それも今月がちょうど付き合って一年経つというタイミングだ。始まりから遠距離恋愛で頻繁に会えないし、月日は経っているが中身はさほど濃いものでもない気がする。 「はぁ……」  待つのにも疲れて、連絡を気にするのも嫌になってきた。それでも自分から投げられないことが一番嫌だった。  好きだから、別れたくないから、そんな健気な気持ちでもない。  どうしてこうなったのかな、何がダメだったのかな、いつから、どこで、話せば色んなことが知りたくなる気がしていた。そしてそれを聞く勇気がないだけ、別れ話をするのに憂鬱そうに嫌な顔でされるのは嫌だ。それなら自然消滅の方が楽かもしれない、そんな風に思ってしまっている。  谷川志織(たにがわしおり)、もうすぐアラサー。  遠距離中の彼氏がいるけれどそれはもう名前だけの関係。それに悩みをこえて考えるのも嫌になってどこか現実逃避しつつ、自然消滅の定義って何日からなるんだろう……そんなしょうもないことを考えていたせいかもしれない。  やってしまいました。  
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