20.火焔の国バルダタ

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「このあとすぐ宝箱の探索しなきゃな……」 それで新しい服を買おう リュドリカはうん。と一人決意する ラシエルはそんな様子を横目に見ながら山頂を見上げていた 目で捉えられるほどの大きく立ち昇る黒煙に顔を顰める。火口の中から、鳥の翼のような巨大で赤い何かが、気味悪く蠢いていた そんな不可解な光景の中でも、悠長に前を進むリュドリカの左手を不安げに掴んで引き止める 「んっ?どした?」 「これ以上近付くのは危険なんじゃ……。あの火山……今にも噴火しそうです……」 リュドリカは目をパチクリとさせ、掴まれた手を見下ろす。嫌な予感からか、掴んだラシエルの大きな手は微かに震えていた。そんな彼の気を紛らわせようと、リュドリカは意気揚々に手を握り返し、ブンブンと縦に振る 「大丈夫大丈夫~!そん時は俺が魔法で守ってやるし!」 「えっ、そんな事まで出来るんですか……?」 「うーん、多分!」 そんな高等そうな魔法がリュドリカに扱えるのかは実際は知らない。 だけど里には、不死鳥の加護という防御結界が施されているので、火山弾や火山灰などが降り掛かり里に直接の危害をくわえることは一切ないらしい そしてその活火山の頂上に棲まう不死の鳥エンドルフィンこそ、今回のボスである 「!!」 再びラシエルの身体がピタリと強張り、眉根を寄せる リュドリカはつられてラシエルの視線の先に顔を向けた 山頂が僅かに膨らみ、煙の勢いが増している 遥か遠くでズウゥンと地を揺るがす重低音が響いた、次の瞬間ーー ドカンッ!と凄まじい爆発音がバル山の頂上から鳴り響く ラシエルは咄嗟に掴んでいたリュドリカの手を強引に引き寄せ、守るよう抱きしめた
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