20.火焔の国バルダタ

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20.火焔の国バルダタ

火焔の国バルダタの象徴とも言える不死の鳥エンドルフィン 普段は温厚で一番に国の為を想う心優しい鳥なのだが、魔王の力によって洗脳を受け、今は活火山の頂上で荒れ狂い、民に危害を加えようとしていた 不死の鳥は、体長約五十メートルにも及ぶ超巨大鳥で、その大きな翼をひと度羽ばたかせれば、里への落石が絶えなかった。 突然の不死鳥の異変に里の長が自ら立ち上がり様子を見に行くが、頂上に向かったきり彼らが里に戻る事はなかった ーー彼奴らを解放してほしければ、勇者を連れてこいーー 里長の息子であるパイロは、不死の鳥エンドルフィンにそう命を受け、勇者の出現を待っていたーーー 「おお!着いたな。ここが火焔の国かぁ」 宿屋で手に入れた最強バフ効果のおかげで、何時間と走り続けてもリュドリカ達は全く息一つと上がらなかった。 ゲーム内では三十分だけだったのが、現実と時間間隔が違うおかげで数時間と効果は持続してくれた 「……凄いですね。こんなに高い山は初めて見ました」 標高五千メートルにも及ぶ活火山バル その麓に住まう里にこそ、勇者が目指しているメインストーリーがある場所だ 「ラシエル、こっち」 ストーリーを知っているリュドリカは、意気揚々とその里の民族の住まう住処へと歩き始めた 数分と歩き続けると所々に石畳の家が見え始める。 あの造りの家は、全て活火山バルから降り掛かった噴石や溶岩で作られたもので、この国の里長の神力も相まって、その硬度は鉄よりも硬さを増しており頑丈な造りになっている リュドリカはその家の佇む中心地で、キョロキョロと辺りを見渡した 視線を更に先に送っても、人影が一つも見当たらない 「あれ、人が居ないな」 また更に家屋が立ち並ぶ道沿いを歩き続けると、火山の影響なのかどんどん気温が上昇しているのを体感する 「……あっつい!!ふう、火焔の国ってだけあるなぁ」 リュドリカはその蒸し暑さで身に纏っていた勇者の衣を脱ぎ腰に巻き付けた 「リュドリカさん、そんな格好……」 「あっ、悪い。勇者の服なのに、こんな着方したら罰当たりか」 「いえ、それは構いませんが……肌を出し過ぎです」 ラシエルがブカブカで肩が出すぎているからと、宿屋でわざわざ勇者の衣服の下に着るインナーまでついでに買って着せられているのに、どこが肌を出しすぎなのか分からない 最初から俺に合う別の服を買っとけば良かった話なのでは? しかし、頭では思っていても追及はしない 俺が買った訳でも無ければ服を失ったのは言うまでもなく自業自得だったからだ
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