第4話 相方募集中。

3/3
前へ
/42ページ
次へ
「どうも、はじめまして。ハルマさんですか?」 「はい、そうです。よろしくお願いします」 「ちょっと緊張してます?顔が強張ってますよ」  ヤジさんはそう言いながら笑った。 「こういう形で人と会うのは初めてなので……」 「ハハハ!!!僕もそんなにないですよ。この近くにファミレスがあるので、そこで話しましょうか」  ヤジさんは僕より2歳年上の21歳で、大学生。メガネを掛けていて、中肉中背、少し背が高めなハキハキとした印象の人だった。顔は地味でそんなにパッとしない感じ…… 「SNSに載せてみたはいいものの、結局反応があったのはハルマさんだけだったんですよ」  ファミレスに着き、早速ヤジさんが話し始める。僕以外にもDMは2件ほど来たが、返信がなくなったり遠方で会えない距離で、結局まともにやり取りが続いて会える距離だったのは僕だけだったそうだ。 「ハルマさんは好きな芸人さんとかいるんですか?」 「僕はスリールとか、チップキックっていうお笑いコンビが好きですよ」 「あー、僕もその辺の芸人さん好きですよ。漫才とコントだとどちらがやりたいです?」 「僕は漫才がやりたいですね。どちらも好きですけど、特に漫才がやってみたいんです」 「僕も漫才がやりたいです。僕はツッコミがいいんですけど、ハルマさんはボケでもいいですか?」 「僕はボケがやってみたいので、ちょうどいいですね」  どんな人が来るかと不安だったが、常識的な感じで話しやすい人でよかった。 「ところで、僕は今は本格的にプロの芸人を目指してるわけではなくて、趣味でやってみたいという程度なんですが、ハルマさんはそんな奴でも大丈夫ですか?もしプロを目指したいなら、他の人の方がいいかもしれません……」 「僕もプロを目指してるわけではなくて、ただ漫才をやってみたいなというだけなので、趣味程度で大丈夫です」  お互いの方向性も、プロではなく趣味でやるという点で一致していたため、コンビを組んでみることになった。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加