第3話 お笑い

3/3
前へ
/42ページ
次へ
「こんにちは」  僕もあいさつを返し、隣に座った鈴木さんに 「今日のスピーチ、なにを話しますか?」  気になって聞いた。 「僕はカメラが趣味だから、カメラや写真の話を考えてきたよ。阿部くんは?」 「僕はお笑いが大好きなので、お笑いのことを話そうと思ってます」 「お笑いが好きなんだ。意外だね」  そんな話をしていたら、先生が入ってきた。1人ずつスピーチをしていき、30秒前に1度ベルが鳴らされ、3分過ぎると2度ベルが鳴らされる。  僕は人前で話すことにかなり緊張したが、お笑いについて、好きになったきっかけやどういったところが好きなのか……などを話し、なんとかスピーチを終えた。 「阿部さん、スピーチすごくよかったですよ」  講師の先生や受講者の山本さんという女性も褒めてくれた。学生時代に比べて人前で話すことも少しはできるようになってきたが、まだまだ緊張する。それでもこうして褒めてもらてると嬉しい気持ちになった。  話し方教室の翌日は月曜日で、仕事は相変わらず工場でパンの検査などをおこなっている。仕事中は黙々と作業をするため、色々と考え事をすることも多い。最近は、自分でも漫才をやってみたいという欲が出てきて、仕事中に漫才のネタなんかを考えていた。  家に帰ると、自分の好きな芸人の漫才をノートに書き写したり、ネタの流れを考えたりしているのであった。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加