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9.この想いと情熱の行く手
職種柄、日曜が休みということは少ないのだけど、その日、私は休みだった。
洗濯と掃除と、ちょっとした雑用
(お店の従業員に渡すシフト表の作成やら新作スイーツの手書きPOPの作成やらだ)
を片付けたら、お昼になっていた。
「初めてだね。家で、まいさんと、二人っきりのランチタイムなんて」
はいどうぞ、と、目の前に差し出されたのは、レタスとベーコンのチャーハンだ。
市販の中華スープと共に、大地が用意してくれた。
父さんは、接待ゴルフに行っていた。
「家事とお仕事は、ひと段落したんだよね? なら、午後からは、僕と遊んでくれる?」
「あんた、課題だされてるって、言ってなかった?」
「まいさんが家のこととかやっている間に、終わらせたよ。だから、いいでしょ?」
「いいけど……何したいの」
中華スープに口をつけ、ちらりと大地を見た。ふふっと大地が笑う。
「えっちなコト」
ぶっとスープを吹き出しかけて、大地をにらむ。
「昼間っからアホなこと言ってると、殴るわよっ」
「……冗談なのに。まいさん怖いよ」
「あんたが言うと、冗談に聞こえなくて、こっちが怖いっての!」
唇をとがらせて不満そうに私を見る大地に、負けずに言い返してやる。
食べ終えた皿を流し台に運びながら、大地がリビングの方を指差す。
「あれ。チェス」
つられて見ると、すでにチェス盤がテーブルの上にのっていた。
……もう、最初から言えってのよ。
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