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職場の同僚から穴場の花見スポットがあると聞いた。
場所は県の南西部。人口がやたらと少ない地域。自宅から最寄り駅まで徒歩十五分。電車に乗って揺られること約一時間。そこからバスに乗って約三十分。そのバス停から歩くこと数十分。
電車やバスの待ち時間を含めると三時間くらいかかった。
かなりの田舎だからか、バスの本数が少ない。そのため、かなり長い時間待たされた。ここまで時間がかかった原因の一つだ。
ここに来るまでに桜の木を何本か見てきた。いずれも八分咲きから満開ぐらい。
開花宣言から一週間。予想通り、いい感じに咲いている。しかも晴れている。絶好の花見日和だ。
だが、まだ例の花見スポットに着いたわけではない。
ここから山の頂上まで登らなければならないのだ。
さて、目の前にある山だが、なんとも奇妙な形をしている。
山のふもとから少し上までの部分が、急斜面とか断崖絶壁というレベルではない。
角度が余裕で九十度をオーバーしている。それこそ、背を大地に向けつつ、ハーケンやロープ等を使いながら登っていかなければならないだろう。本来ならば。
だが、誰が作ったのだろうか。
階段が山から伸びている。
途中までこの階段を使って登っていけばいいのだ。
というわけで、私はこの階段を上ることにする。
階段は金属製で、ペンキが塗られている。
改めて山の方を見る。あの奇妙な形は、どのようにしたらできるのだろうか? 侵食によるものだろうか?
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