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再びMAPアプリで豚骨ラーメン屋を検索する。次にここから近い場所にある豚骨ラーメン屋は、距離にして12キロメートル離れた位置にあった。
とても徒歩で向かう圏内ではない。わざわざ電車とバスを乗り継いで、向かう気にもなれない。今日はなにか神に見放されているような気がする。
「……」
この運のなさに、黒木の決意が揺れ動いた。
べつに豚骨に、こだわらなくてもよくね? MAPアプリには、中華そば、道産娘、つけ麺など、他にも餃子に自信満々な中華料理店や、ラーメン屋なのにそれ以外の定食のほうが人気の店舗、相撲の最高位の名称で誇らしげに営業している店が近辺で表示されていた。
黒木は一番近い場所にある商店街の中華そば店に向かった。
もちろん今度はダッシュでだった。腹が空腹のあまり擬音語でシュプレヒコールをあげている。時間は12時半になっていた。早い人ならもう食後のコーヒーを飲んでいる頃だ。
久かたぶりに、背中と額に汗をかいた。目的地の中華そば屋が見えてきた。ーーが、黒木はまたしてもびっくりぎょうてんした。
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