終話

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 ファーストミートは写真に収めたいと言われていたので、父の友人が先に控え室に入り、東梧さんが来るのをスタッフ一同で待つ。スタッフさん達はきっと、自分たちが時間を掛けて支度したウェディングドレス姿の新婦を見た新郎の様子が楽しみなのだろうけれど、私はとにかく早く東梧さんに会いたかった。  新婦控え室の扉を開いた東梧さんを見た瞬間、ときめきすぎて心臓がとまるかと思った。  礼装の東梧さんが格好良すぎる!  背が高いから、フロックコートがこの上なく似合っている。スタイルがいいから全然野暮ったくない。  何これ写真撮りたい……! と思ったが、今日は一流のカメラマンがいるから任せたんだった。来てもらって良かった。私はいいから、東梧さんを千枚くらい撮ってほしい。  私を認めた東梧さんは、「究極の破壊力……」と呟いて、言葉を失ったまま動かない。  初めて「おかえりなさい」と出迎えたときみたいだ。多分、しばらく動かないだろうなと思って、私から先に声をかけた。 「東梧さん、カッコイイです! やっぱり黒が似合いますね!」 「あなたもとても綺麗です。綺麗だ。他に言葉が思いつかない」 「ありがとうございます。東梧さんのおかげです」  感極まった表情のまま、ゆっくり歩いて私の前まで来て頬に触れようとした。キスして欲しい、と思っていたのに、彼は遠慮するように手を引っ込めた。
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