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「ごめんなさい。厚化粧だから、東梧さんの手が汚れちゃいますね」
「いえ、綺麗すぎて、触れられない」
「本番ではちゃんとキスしてくださいね」
私が腕を伸ばして抱きついたら、東梧さんが優しく抱きしめてくれて、ようやくふわっと笑った。にこにこしながら二人で見つめ合っていたら、介添人が「……お邪魔にならないように、席を外しましょうね」と言ってくれて、スタッフ全員が一旦部屋の外に出て二人きりなった。
これで遠慮しなくていいと、東梧さんが何度もキスをしてくれたから、いつもの朝のようで安心する。「ずっと緊張してます」と笑ったら、彼が背中を撫でてくれた。
「僕は、今日のために生きてきたんだと思います」
「そうですか? この先も、きっと楽しいことたくさんありますよ」
「……僕の命は和咲さんにあげます。これからの人生は全てあなたのために」
「素敵なプロポーズですね。ずっと、ずーっと、私と一緒に生きてください」
私がそう答えると、東梧さんがまた頬や耳にたくさんキスをしたから、くすぐったくて笑った。このままくっついていたらドキドキしすぎるなと思って離れようとしたら、引き寄せられて深く口づけられる。
誰も見てないのに、いけないことをしているみたい。
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