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「んっ……待って……東梧さん、待って……!」
「そうですね。ドレスを脱がせるのは、夜まで待ちます」
「うん……もしかしたら、しばらく我慢してもらわないといけないかも」
「……? ちゃんと我慢しますよ。じゃあ、先に式場へ参ります」
またあとで会えるけど、少しでも離れるのが寂しいから、去り際に最後にもう一度だけキスしてもらった。
まだ誰にも言っていないけれど、式披露宴はできるだけ早いほうがいいと思っていた私の「懸念」は、おそらく当たっている。ずっと熱っぽい。
◆
挙式の直前、義母にお願いしてベールをおろしてもらった。
自分のいる場所からゲストの様子はわからないけれど、義母が「皆さん、あなたの晴れ姿を楽しみにしてますよ」と言ってくれたので、すこし緊張がほぐれた。
扉が開く。ステンドグラスから差す光がとても綺麗。
東梧さんが待っている場所まで、バージンロードは一人で歩く。
新郎と二人で歩く案などもあったが一人がいいとお願いした。ちょっと変わっているかもしれないけど、みんな快く承知してくれた。
最前列には、両親と祖父母の写真を置いてもらっている。私が転ばないように、守ってくれるはず。
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