終話

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 新郎側の席で、槙木さんが号泣しているのが見える。やっぱりね、と笑いそうになった。新婦側にいる永遠子も泣いていて、それはちょっと予想外だった。気の強い彼女が泣いている姿に、釣られて私も泣いてしまいそう。  東梧さんも、緊張してる?  泣いているみたいに見える。潤んだ瞳が綺麗でとても眩しそうにしていて、可愛いなと思った。やっぱり大好きだな。会うたびにそう思う。  祭壇の手前、彼が立っている場所は他よりも天井が高くなっているから、より一層明るかった。  ゆっくり歩いてやっと到着する。一呼吸置いて見上げたら、東梧さんは穏やかに笑っていた。 「あなたが僕の元へ来てくれて嬉しいです」 「お待たせしました!」  前に向かって歩き始める。ここからは一人じゃなくて二人で。  繋いだ手がお互いの体温で温まっていく。胸がいっぱいになるようなこの感情に名前を付けるなら「幸せ」しかないだろうなと思う。  私はとても幸せだ。 おしまい お読みくださって、ありがとうございました🍀
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