東京駅_2

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 真臣は私を大切にしてくれるし、勿論別れたいなんて一度も言われたことはない。  でも、真臣はこの春まで福岡支店勤務だった。  信じたいけれど、離れた場所での出来事なんて私にわかるはずもない。沈黙していると、彼女が続けた。 『真臣くんから言われたんです。妊娠したなんて、そんな嘘つくなって。でも嘘じゃないんです。本当なのに……私どうしていいかわからなくて……』 「申し訳ありませんが、プライベートな内容でしたら、退勤後でもよろしいですか? 武内さんは勤務時間中ですか?」 『え、いえ、今日は休んでて……。真臣くんがずっと電話に出てくれないから、会いに来たんです』  冷静でいようと頑張ったけれど、さすがに混乱してきた。……福岡から会いに来た?  真臣が、自分の子を妊娠したと言っている女の子を無視している?  詳しく話を聞かないことには何も判断できない。  彼女は東京に来るのは初めてで何もわからないらしく、なぜか私が東京駅の新幹線口に呼び出されることになってしまった。  私が電話を切ると、待っていたかのように藤原さんが声を掛けてきた。 「どうしたの? 戸樫さんすっごい顔してるけど、どこからの電話?」 「福岡支店です」 「春まで柴田がいたとこだね。プライベートがどーのこーの言ってたけど、結婚式の問い合わせ? 式場決まったんだっけ? お花とか祝電とか?」  藤原さんはベテランの事務担当で、噂話が大好き。だから余計な詮索をされたくなくて、「そうです。でも私じゃわからないことだったので、柴田くんに聞いてみます」と笑って誤魔化した。
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