1night

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4. 「あー…っ…あっ、あん、ん…」  声が止まらなくなってしまった。  気持ちいい…っ  はいりこんで、中をかきまぜる指。 その力加減も絶妙としか思えない。  いつの間にか、後ろから抱えられるような体勢で愛撫されていた。 両脚を大きく広げられて、明るい照明の下。 恥ずかしいのに、閉じられないように押さえられて。 でもそれどころじゃない。 気持ちよくて、おかしくなりそうだった。  私、こんなになるほど飢えてたの…?  片隅に残る理性が、そうつぶやく。 「澄香」  耳元で名前を呼ばれて、吐息がかかる。  その刺激にすら、きゅっと反応したのがわかる。 彼の指の形が、はっきりとわかるほど。 「…気持ち良いんだね」 「う………、んっ、あ……、はぁぁ……やん、あんっ」  うなづくのもままならない。  指が、ずっと動いてるから… 「ん……ここ。……好きかな?」  ぐ、っと押されて。 「!」  びくっ、と腰が跳ねた。 「あ、ぅ…きもち、ぃ…あ、や……、だ、だめ…」  そこ、そんなにされたら。  後ろから回されたてた手が、脚から上がってきて右胸を鷲づかみにした。 「ぅ、あぁ、ん…」 「だめ…?」  うなじの脇に触れる唇の、柔らかな感触。 そのまま、触れるか触れないかで喋るから。 ぞくぞくして。 中に入ったまま動きを止めている彼の指を、また吸い上げようとしてしまう。 「こんなに、なのに?」 「………ち、ちが…」  だめじゃないの。 そうじゃなくて… 「何が違うの…?」 「ぁ……」  澄香、と。 また名前を呼ばれた。 「んん…」 「してほしいことを、言ってごらん」  してほしい、こと。 それは… 「……っと」 「ん…?」  きき返す史朗さんの唇が、首筋をたどる。 「あ…」 「……澄香」  低い声。  熱い、声。  声だけで、溢れるなんて…… 「言って」 「………も、っと…史朗さん」  もっと。  もっともっと。 「して…」  とろけた頭で、いつになく甘えて。 言ってしまった。  肩口でくす、と笑う気配。 「…可愛い」  それから。 仰せのままに、と言って。 また激しくかき混ぜられた。 水音が、嘘みたいに大きい。 「あっあっ、あぁぁ」  途端に壊れたみたいに喘ぎだす自分が恥ずかしくて。 無意識に身体を丸めようとした。 「だめだよ、澄香」 「…!やっ…」  その動きを戒めるみたいに、右胸を揉みしだいていた手の指が尖った先端を摘み上げる。 ビリビリするような快感が、下腹部に流れ込む。 「あぁんっ、あぁ、んっ…しろ…さ」  痛いほどに強く、でも痛みよりも快感が勝った。  まるで胸を突き出すようにのけ反って、さらに喘ぐ。 「やぁぁん、あ、あぁん、きもちぃ…っ」 「…うん、気持ちいいね」 「あ、あ、あ……き、きちゃう」  覚えのある感覚が、ぐんぐん近づいてきていた。   「いいよ」 「んっ、やぁ…」  恥ずかしかった。 初めて会った人の前で、こんなに乱れて。 いとも簡単にいってしまうのが。 でも、身体は止まらなくて。 貪るように史朗さんの指にからみついていく。 「澄香」 「し、しろう、さんっ…」 「いくとこ、見せて」  そんなおねだりやめて、って。 言いたくても言えない。  どうしてこんなに気持ちいいの。 「あぁんっ、あんっ…、……ひ、ぁ……ゃっ…」 「…澄香」  もうだめ、いく…  そう思った瞬間、伸びてきた手に強引に振り向かされて。 吐息ごと奪うようなキスになる寸前、史朗さんの欲情した目を見た気がした。 「ーーーーーっ…」  声もなく、震えて。 口の中を熱く動き回る史朗さんの舌に、溺れた。  こんなの、知らない…  遠のきそうになる意識を、必死でつなぎ止める。  リップ音をたてて離れた史朗さんが、両腕で抱きしめてくれた。 「…大丈夫?」 「……はい」 「続けても?」 「あ……」  それはそうだ。  まだ私がいっただけで、彼はそうじゃない。  もう満たされたような気になってたけど…  それくらい、気持ちよかった。 「澄香?」  のぞきこんでくる仕草が、何だか可愛い。 さっきまでの強引な男らしさはもうなくて。 年上のオジサマとは思えない。 「はい…、続けて下さい」 「…本当に、大丈夫?」  疲れてしまった?と、優しく訊いてくれる。 「ううん、疲れてないです…」 「そう…?」 「…もっと、したいです」  今夜だけ。  一晩だけだから。  もっともっと、と。  言わせて… 「史朗さん…」 「澄香…」  腕を伸ばして、彼の頬に触れる。  そっと引き寄せて。 「続きをして…」  囁いてから、キスをした。
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