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数日経った放課後。
クラス委員の顔合わせが終わり、私は教室に戻るところだった。
その心はザワザワ、胃はキリキリし。不安な気持ちに押し潰されそうで苦しい。
というのも、十月末に行われる学園祭の実行委員に、二年生代表として選出されてしまったからだ。
どうしよう。男子のクラス委員の鈴木君、絶対嫌だと思うよね?
今日は急用で委員会に出れないと言っていたけど、本当は私に押し付ければいいやと思っている「声」を聞いている。
それだけじゃない。今日の委員会だって、「二年生代表は気の弱そうな私に押し付ければ良いや」と考えている声が複数聞こえてきた。
はぁ、まただ。
また大変なことを押し付けられてしまった。
誰かに、辛いと話したい。手伝ってと頼みたい。
だけど、教室には誰も残っていないのだろうな。
南ちゃんも絵美ちゃんも。
……だけど、どこか安心している自分もいる。
もし。もし、私の心を読んでいる人がいたら私のことどう思うのだろう? 性格悪すぎだよね?
そう思いながら、外より響く蝉の鳴き声に耳を傾ける。
いいな。蝉は。ただ一生懸命に鳴いて、短い人生を謳歌することだけに直向きに生きている。
人間みたいに嘘も吐かないし、嫌なことも考えない。自分のウジウジさに、泣けてくることも。
私も蝉みたいに遠くに飛んでいけたら。大きな声で鳴けたら。地上に出て一週間の命だったら。
もしそうだったら、これほど悩まなかっただろう。
校舎の四階からの景色は、いつの間にかオレンジ色に染まっていた空に、見下ろせば真っ平の地面。
しばらく見つめると、まるでこちらを誘い込んでいるような錯覚を起こしてしまう。
私は人間。空を飛ぶことは出来ない。
そんな当たり前のことぐらい分かっていたけど、気付けば閉められていた窓をそっと開けていた。
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