父伝説

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チキンラーメンといえば、今でこそ そこそこだがリーズナブルなお値段 な上に腹持ちもよく、すぐ作れ 楽しめる即席の袋麺。 しかし、この頃のチキンラーメンは とてもレア中のレアな食品。 私もその時代には生きてないので 最初は狐に摘まれた心持ちだったが 本当に当時はそうだったらしい。 (実にただただ、信じられない話だが) チキンラーメンを始め、当時の 即席ラーメンという代物は 一握りのセレブしか全く口に出来なかった そうで、分かりやすく言うなら 今の私達で言う食品で言うと、 例えばクエとか、仔牛の牛タンとか フカヒレとかあの辺りに 言わば極端に言うとそれぐらい レベルなのかも知れない。 (いや、ランクはそこまでじゃないかも知れないが) 父の当時高校生で仲良かったという そのセレブなF君は、 チキンラーメンを彼のお家で ご馳走してくれて父に今まで 味わったことのない衝撃を父に 与えてたのだから、あの味は 当時忘れられないと今でも話す。 今でこそ、日本は食料は 当時よりも豊富になっているから 食の有り難さが、私達日本人は やや食材の豊富さと 味覚『鈍感』になっているに近いように 私は思えるが 父の時代は、多くの当時日本人達が 苦労や貧しい食生活の中で 生み出した『金の卵』と出逢った 摩訶不思議な発見なのだな、 私自身そんなふうに思う。
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