22.幸せな夏の想い出

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「抵抗ある?」 「えっ?」 すると顔を覗き込みながら社長が声をかけてくる。 「抵抗・・・は、ないです。ちょっとそんなの想像もしなかったので、戸惑ってはいますけど・・・。でも、あたしもまだ一緒にいたい・・です」 「なら、よかった。てか、お前が嫌だって言ったところで、んなの却下だけどな」 「え!?」 「そりゃこんな中で返す訳ねぇだろ。オレがいんのに一人帰す方がありえねえし。お前がそんな足で人混みの中帰ろうとすんなら、社長命令で強制的に泊まらせようと思ってた」 「そんな時だけ社長利用するんですね(笑)」 「それならお前も断れねぇだろうし(笑)」 「社長命令って都合いいですね(笑)」 「だろ? でも。今は社長としてじゃなく恋人として彼女の心配してるだけ」 そう言って優しく笑う。 あぁ、社長はそうやってさり気なく幸せにしてくれるんだよな。 ホントにあたしのこと心配してくれてるんだ。 あたし以上にあたしを気にかけてくれる人。 やっぱりあたしはホントに素敵な人好きになったんだな・・・。 「ありがとうございます。慧さん」 「ん」 あたしにこうやって優しく笑いかけてくれる慧さんが好き。 あたしをこうやって気にかけてくれる慧さんが好き。 あたしをこうやって幸せにしてくれる慧さんが好き。 慧さんの全部が好き。 「フフッ」 「ん?」 「いえ。幸せだなぁと思って」 「そっ?」 「はい」 「こんなもんじゃないから」 「え?」 「もっとお前を幸せにしてやる」 「慧さん・・・」 「だから、お前もこんなんで満足すんなよ?」 「はい」 その言葉は決して強制的でもなく、命令的でもなく。 社長としての言葉じゃない、恋人としての慧さんとしての言葉。 優しく笑いかけてくれながらそう伝えてくれる言葉。 きっと、あたしはこの人を好きでいる限り、その度に幸せを感じてずっと満足し続けていくと同時に、好きが増え続けてその満足も留まらなくて満足し続けていくのだろう。 好きという想いに限界なんてなくて、一瞬一瞬過ごす時間が、一瞬一瞬交わす言葉が、一瞬一瞬感じる想いが、どれも違って全部が特別な幸せとして、きっとずっと重なっていくから。
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