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23.想いが溢れる夜
それから近くに停めてあるからと社長の車へ二人移動してきた。
「今日車で来られてたんですね」
「あぁ。ここ以外にもいろいろ動く予定あったから車のが移動しやすかったし」
「そうなんですね。でも、もっと混んでるのかと想ったらそうでもないんですね」
「あぁ~。ここちょっと離れたし、皆帰るの逆方向だからこっち来るとそこまで混んでないんだ。まぁ少し歩かせて悪かったけど」
「いえ。その間また慧さんにくっついて十分恋人時間堪能出来たので満足です♪」
「それは確かに」
「はい」
「ん。お待たせ」
「ありがとうございます」
それから車に乗り込んだあとは、いきなり泊まりだと大変だろうと、ホテルまでにある遅くまでやってるお店に寄って、服や小物を買えるようにしてくれた。
さすがだな。
あたしなんて泊まれることに浮かれてなんも考えてなかった。
そうだよな、いきなりお泊りするってことはそういうことだよな。
確かに浴衣脱いだらあたしもう自分で着れないし、そしたら着替えいるもんな。
しかもメイク道具は持ってるけど、メイク落としとか化粧水とかそういうのも持ってきてないし。
なんてスマートなんだ。
自然すぎてビックリしたわ。
てか、やっぱ慣れてるな・・・。
女性の扱い方めちゃわかってる・・・。
今までもこういうことあったのかなって、少し胸がチクッとするものの、それほど大人でスマートな慧さんに同時にキュンとする。
だけど二人の時はこうやって一番にあたしのことを考えてくれる。
きっとこれは社長としてじゃなく恋人としてなのだと、一つ一つのそのさりげない気遣いや優しさから、ちゃんと伝わってくる。
そのおかげで、あたしの意識も "社長" ではなく、ちゃんと "慧さん" という彼氏に対しての呼び方や感情に自然に変わっていける。
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