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そして着いたホテルは思ってたより、やっぱりすごい豪華なホテルで。
部屋に入ってもダブルとは言いつつ、めちゃ広い・・・。
え、いつもこんなとこ泊まってるんだ・・・。
「ソファーあるし座って」
「あっ。はい」
そう言って部屋に入ると、慧さんがソファーへと促してくれる。
「ん。スリッパ」
「あ、ありがとうございます」
「もうそれ脱いで楽にしとけ」
「はい」
え、もうどこまで気が付くのこの人。
「すいません。何から何まで」
「フッ。こんなん当たり前だから」
当たり前じゃないんだよな。
普通の人だと気付かないようなことなのに、当たり前に気付くってとこがすごいんだよ。
「あたしは大丈夫なんで慧さんも座ってください」
「あぁ、うん」
そう言うと慧さんも隣に座ってくれる。
いつもの家のソファーよりも少し狭めだからか、すぐ隣に慧さんをより一層感じる。
「疲れましたよね? イベントのあとに運転まですいません」
「ハハッ。んなの一人でもやってることなんだから、お前が謝ることじゃないだろ」
「あっ、そっか。なら、先にシャワー浴びてゆっくりされますか?」
「いや、まだ着いたばっかだからゆっくりさせて」
「あっ、ですよね。じゃあ、あたしが先に行ったほうがいいですか?」
と、立ち上がろうとすると。
「ちょっと待って。なんでお前、んな焦ってんの?」
「えっ?」
立ち上がろうとした、あたしの手を引っ張って、そう言ってまたソファーへと座らせる。
「あっ、なんか落ち着かなくてつい・・・。こんなとこでこんな状況になったの初めてなんで」
「それは、男とこういう場所には来たことないってこと?」
「もちろんじゃないですか! なので、こういう時どうすれば正解かとかわかんなくて・・・すいません」
「だから謝んなって。とりあえずちょっとゆっくりしようよ」
「あっ、そうですよね。あっ、じゃあ買ってきたやつなんか飲みます?」
「依那! だから落ち着けって」
慧さんに名前を呼ばれてハッとする。
「ゆっくり話しようよ」
「あっ、はい」
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