23.想いが溢れる夜

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そして着いたホテルは思ってたより、やっぱりすごい豪華なホテルで。 部屋に入ってもダブルとは言いつつ、めちゃ広い・・・。 え、いつもこんなとこ泊まってるんだ・・・。 「ソファーあるし座って」 「あっ。はい」 そう言って部屋に入ると、慧さんがソファーへと促してくれる。 「ん。スリッパ」 「あ、ありがとうございます」 「もうそれ脱いで楽にしとけ」 「はい」 え、もうどこまで気が付くのこの人。 「すいません。何から何まで」 「フッ。こんなん当たり前だから」 当たり前じゃないんだよな。 普通の人だと気付かないようなことなのに、当たり前に気付くってとこがすごいんだよ。 「あたしは大丈夫なんで慧さんも座ってください」 「あぁ、うん」 そう言うと慧さんも隣に座ってくれる。 いつもの家のソファーよりも少し狭めだからか、すぐ隣に慧さんをより一層感じる。 「疲れましたよね? イベントのあとに運転まですいません」 「ハハッ。んなの一人でもやってることなんだから、お前が謝ることじゃないだろ」 「あっ、そっか。なら、先にシャワー浴びてゆっくりされますか?」 「いや、まだ着いたばっかだからゆっくりさせて」 「あっ、ですよね。じゃあ、あたしが先に行ったほうがいいですか?」 と、立ち上がろうとすると。 「ちょっと待って。なんでお前、んな焦ってんの?」 「えっ?」 立ち上がろうとした、あたしの手を引っ張って、そう言ってまたソファーへと座らせる。 「あっ、なんか落ち着かなくてつい・・・。こんなとこでこんな状況になったの初めてなんで」 「それは、男とこういう場所には来たことないってこと?」 「もちろんじゃないですか! なので、こういう時どうすれば正解かとかわかんなくて・・・すいません」 「だから謝んなって。とりあえずちょっとゆっくりしようよ」 「あっ、そうですよね。あっ、じゃあ買ってきたやつなんか飲みます?」 「依那! だから落ち着けって」 慧さんに名前を呼ばれてハッとする。 「ゆっくり話しようよ」 「あっ、はい」
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