23.想いが溢れる夜

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「それに。せっかくそこまで綺麗にしてんだから。すぐ着替えちゃもったいないだろ」 「え、それ慧さんが言ってくれるんですね」 「だから。もっとちゃんとよく見せて」 「えっ? こんなんでよければ・・・」 「うん。お前のその姿ちゃんと見たい」 「あっ、じゃあちゃんと立ってお見せしましょうか?」 「あぁ。いいね」 「では。はい! どうぞです!」 そう言って慧さんの前に立ち、手を広げてクルクルと回って浴衣姿を披露する。 「どうですか?」 「うん。綺麗だよ」 「へへ。やった」 こんな時も慧さんは優しく見つめて笑ってくれる。 「ホントは。あたしも慧さんに見てほしかったんです」 「そうなの?」 「このイベントはルイルイたちが浴衣で来てほしいって言ってたイベントで、ファンの子もみんなそれ聞いて浴衣着てきたりして。もちろんそれはそれでこういう格好出来るのとかも嬉しかったんですけど。なんかイベント来てるカップルの人とか見ると、やっぱ普通に慧さんのこと思い出しちゃって、あぁあたしも一緒に来たかったな~、浴衣姿見てほしかったな~って思ってました」 「へ~。そんな時までオレのこと思い出してくれてたんだ?」 「はい」 「そのルイってヤツに会いに来てるイベントだし、オレのことなんてすっかり忘れてると思ってたよ」 「ルイルイは推しですけど、あたしがいつでも会いたいって思うのも好きだって思うのも慧さんだけです!」 「えっ、それどう違うの? ルイってヤツも好きなんだろ?」 「はい。好きです」 「で。オレは?」 「好きです」 「フッ。どう違う訳?(笑)」 「全然違いますよー! えーなんて説明すればいいんだろー! ちょっと待ってくださいね! どう言えば伝わるかちゃんと考えますから!」 「いやいや、そこまではしなくていいから(笑)」 「でも!」 「オレのこと好きだってちゃんとわかってるから」 「ホントですか?」 「あぁ~。いや、やっぱわかんねぇかも」 「え?」
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