18人が本棚に入れています
本棚に追加
ハンが言ったとおり、トガニがやってきた。書類の山をちらちら見ながら、近寄ってくる。椅子はすでに用意されていて、長旅に疲れたハンは寝ぼけ眼になっていた。
ミノはパソコンで書類のほとんどを翻訳して、書き直している。
「よう、不健康な諸君」
トガニは上機嫌に言って、目の下に隈が出来ているミノや疲れているハンをからかった。
「トガニも不健康でしょ」
「俺はここ何日かで改善したんだぜ」
そう答えながら飴を2人に配った。
「で、話って?」
「この書類。全部依頼の内容なんだけど…」
ミノはパソコンからようやくトガニの方を向いた。
「翻訳して要約したところによると、
"ある男の脳みそ"を返さないといけないらしい」
「脳みそ?」
ハンがしっかり目を開けた。
「トガニとヨンジェがオマーンで見た
ロボトミー手術のことが、この書類の中に書かれているんだ。」
「じゃあ…あの医者以外にロボトミー手術をしてる医者がいたってのか?」
トガニが半信半疑に聞いた。ミノは慎重に言葉を選んでいる。
「確証はない。
依頼人の…自称ってところかな」
最初のコメントを投稿しよう!