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デンマーク コペンハーゲン空港
空港内のターミナルに点在するカフェの中でも、一番、目につきやすいカフェで待ち合わせの指示が出ていた。ミノはカフェに入ると、先にいる客を観察する。仕事前の客室乗務員が2人、テーブルについている。それ以外は、朝7時のせいか、いなかった。
ミノはカウンターに腰掛け、テーブルの下でルガーの安全装置を外した。いつでも撃てるような姿勢にして、ホルスターに浅く差し込む。それをジャケットの裾で隠した。引きずってきたキャリーケースにはパソコンが1台、それに替えの拳銃が2丁。弾薬が2箱。拍子抜けするほど何もなかったら、笑えてくるだろう。
ウェイターが注文を取りに来た。
「ウィンナーコーヒー」
ミノが注文すると、ウェイターは伝票にボールペンでスラスラと書き込んだ。それから茶封筒をエプロンの前ポケットから取り出し、テーブルの上に滑らせた。ウェイターをちらりと見やる。
「小柄な男性に…と頼まれました。」
「小柄は余計だね」
ミノは苦笑いしたあとに、封筒に手を載せた。ウェイターが去ってから茶封筒を開ける。
客室乗務員たちはお互いの話に夢中で、ミノの存在にすら気づいていない。
茶封筒の中には1台の携帯電話が入っていた。
黒色で、ストレートタイプ。操作してみたが、着信履歴 発信履歴なし。四隅が擦り減っているところを見ると、使い古し。
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