懇親会といこう!

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懇親会といこう!

 二日間の筆記テストを終えた。  こうして、新入生テストがすべて完了した。  後日、結果を参照してクラスでの役割が決まるらしい。  おそらく筆記に関してはほぼ満点だろう。 「簡単だったな」 「そうですわね。メルフェンさんはすぐに手を止めてましたよね?」 「簡単だったから。魔法の実技が大きく結果を分けそう」 「ヴェンドやメルフェンさんは優秀ですわ」 「俺様はもちろん、メルフェンは最優秀か?」 「うーむ。でも私、採点項目外で褒められただけだし?」  教室には斑な生徒だけであった。  それもそのはず、まだまだクラス内では集団が少ない。  テストが終わって飛び出すように帰る人が多数派なのだろう。  なお、明日から三連休らしい。  と、そのときだった。 「メルフェン、助けて。どうしよう!」 「マーレ?」 「筆記全然だった。そもそも私、文字はほとんど書けないから。少しは読めるけど。ぽんこつなのばれてしまう。うう……。また父さんに馬鹿にされそう」 「どうかしたの?」 「私は普段から外で遊ぶのが好きで、家でじっとしているのが苦手だったから。それにしても私ほど読み書きできない人は少ないみたい。担任が見回りに来たときの表情が怖かったよぉ。助けて」 「もうテストは終わったでしょ」 「結果見たくない、怖い」 「マーレさん、メルフェンを抱き締めないでください!」 「ええ。メルフェンに癒してもらうのに。そうだ、三連休のどこかで会いたいっ」 「いいけど。ヴェンド、リーベもいいよね?」  ヴェンドとリーベは一瞬死んだ目を合わせていた。  都合が合わないのだろうか? 「マーレだけでも。私の家に来て。仲良くなりたい」  せっかくの異世界生活。  正ヒロインと仲良くなれる機会は少なくないだろう。 「私も行きます。懇親会となれば当然」  リーベは胸を張って姿勢を伸ばす。 「俺も行く。他人と仲良くするのも上に立つなら大事だ」  ヴェンドは俺様系にしてはポンコツだろうか?  ガキだ。やっぱり。 「四人でだね。じゃあ、家族に言っておくね!」  友達が三人も家に来る。  病室でひとりぼっちだった私にとって大変な快挙である。  きっと両親も喜んでくれるに違いない。
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