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マサルは言った。
「絶対に秘密にしてね」
「何を?」雅子に聞かれた。
「オレがロックよりフォークの方が好きなのは言うなよ」
「どうして?」
「いいから」
最近マサルは武道館でライブ演奏する時にフォークギターを多用するようになった。
なぜそれまで使っていなかったのかというとピックアップ搭載のフォークギターを持っていなかったからだった。
マイクを立てて音を拾えばいいだけの話だがそれをする気にはならなかった。
最近のマサルはいいエレクトリックアコースティックギターを使って武道館などで演奏している。
オベーションのギターなんて買うという発想は学生の頃のマサルにはなかった。
だが子供にはエレクトリックギターよりフォークギターやクラシックギターをすすめることは多いのであった。
彼の息子のよしおは平気な顔でクラシックギターとテレキャスターを弾きこなしてしまうのだ。
「エリッククラプトンみたいだな」とマサルはふざけた。
「オレギターあんな上手くないよ」よしおは笑ったのであった。
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