いっぱい、いっぱい。

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 ***  僕とさっくん、それから同じマンションや近所のアパートなんかに住んでる子供達、総勢十二人。  近くの第二公園に集まって鬼ごっこをするメンバーは大体固定されていた。みんな同じ小学校に通っていて、年齢は二年生から五年生までいる。その中でも、体が大きくて足が速くて、リーダシップに長けたさっくんはみんなのリーダー的存在だった。  公園に集まると、早速さっくんはみんなに声をかける。 「よーし、みんなに連絡はしたよな?宿題やってきたかー!今日はエイプリルフールだぞ、面白い嘘喋ったやつが優勝!どんどん言ってけ!」  第二公園は、半分のエリアが芝生になっている。この芝生ゾーンでは、ボール遊びしてもよし、鬼ごっこしてもよしということになっていた。いつもならここでかくれんぼでもするところなのだが、今日はさっくんが大きなシートを持ってきている。みんなでお日様の下で座って、お喋りをするところから始まったのだった。  一応ベンチなんかもあるが、いかんせん人数が多すぎる。二人掛けのベンチ三つではとてもじゃないけれどスペースが足らない。 「はいはいはいはいはーい!」  二年生の男子が、元気よく手を挙げた。 「僕、今日の朝ごはんは、ゴキブリをお母さんが揚げてくれたんで家族みんなで食べました!」 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 「うわあああああああああああああああ!」 「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  小学生男子あるある。虫とかウンコネタとかすぐ言いたがる。そして女子たちが悲鳴を上げるのを見て楽しむのだ。案の定、集まった少女達を中心に非難轟々である。ボブカットの二年生、ナミちゃんが思い切り彼の頭をどついた。 「最低!マジ最低!死ねっ!」 「痛い痛い痛い痛い、ゴリラナミいったい!」 「誰がゴリラよ、誰が!」 「あはははは……」  僕は引きつった笑顔でツッコミを入れた。 「ゴキブリなんか油で揚げても美味しくないし、お腹壊すよ。絶対駄目だってば」 「ライ、お前そういう常識的なツッコミしたって面白くないって」  僕のとなりで さっくんがぽん、と肩を叩いた。あれは露骨に嘘だから、と。  まあ、嘘なのはわかりきっている。二年生の彼は、間違いなくゴキブリの名前を出して、女子をキャーキャーさせたかっただけだろう。その結果、彼女達から袋叩きにされていたは意味がないと思うのだが。 「はいはいはいはい!俺も言います言いまああああす!」  そして、一人話し始めると、他の少年少女たちもノってくるというもの。四年生の男子が手を挙げて言い始めた。
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