いっぱい、いっぱい。

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「そういうなら、ライがなんかお手本見せてくれよ。面白い嘘ついてくれ、頼む。お前、スピーチとか結構得意だろ?」 「う」  彼の言葉が聞こえたのだろうか。適当にくっちゃべっていた子供達がみんな一斉に黙り込んでこっちを見る。なんというプレッシャー。僕は思わず咳き込みながら、ええっと、と明後日の方を見た。 「あ、あんまりおもしろい話じゃないんだけど、いい?ていうか、みんなにはちょっと怪談に聞こえるかもなんだけど」 「いいよいいよ。どうぞどうぞ」 「そ、それじゃあ遠慮なく」  僕は周囲を見回した。今日は月曜日。僕達子供は春休みだが、大人はそういうわけではない。遊びに来ているのは子供以外だと、専業主婦っぽい子供連れの女性と高齢者が数人程度のものだった。 「僕達、この第二公園でいつも遊ぶじゃん?この公園って、半分が遊具のあるエリア、もう半分はこんなかんじで芝生になってるよね」  半分の遊具エリアには、砂場やブランコ、滑り台といったオーソドックスな遊具が並んでいる。一方、こちら側は全面的に天然の芝生だ。人工芝よりずっと柔らかくて転んでも怪我をしにくいので、好きだという子供達は多かった。大人からすると手入れは相当大変なはずなのだが。 「この公園って、昔はあの遊具エリアしかなかったんだってさ。芝生エリアのあるここには、元々家が建ってたんだって」 「へえ」 「で、その一戸建てには家族が住んでたんだけど。両親がすげえ毒親で、小学生の長男をいっつも殴ったり食べ物抜きにしたりして虐待してたらしい。で、あんまりにも虐めすぎて、子供はついに死んじゃうんだけど……親は警察にバレるのを恐れて、家の床下に子供の死体を埋めちゃうんだ」 「うっわ。最低……」  ナミちゃんが可愛らしい眉を寄せて罵る。まったくだ、と僕は頷きながら話を続けた。 「すると、両親二人は次々謎の体調不良に見舞われた。内臓が出るかと思うほどお腹を下したり、急な眩暈で立てなくなったり、ご飯がまったく美味しくなくなってしまったり、死にそうなほど頭が痛くなったり。でも、病院で調べてもおかしなところは何もない。二人は死んだ子供の祟りだと思って警察に自首をして、さらに霊能者にお祓いも頼んだそうだ。ところが……二人が探すと、なんと床下から埋めたはずの子供の遺体がなくなってる。ダンボールに詰めて埋めたのに、段ボールの中がからっぽになってたんだって」 「こ、こわ。それで?」
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