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嘘つけばいいってもんじゃない!
その日。
魔王様の玉座には、たくさんの部下たちが集まってきていた。今日は特別な日だ。特別なお祭りの日なのだ。魔王様を喜ばせるため、みなが花束を持って口々に声をかけてくる。
「魔王様!トロント地区の制圧がもうすぐ完了しそうです!」
「ほう、そうかそうか」
「ま、魔王様!魔王様の美声を聞きたいと、各地からコンサートの依頼が舞い込んできております!」
「ほう、そうかそうか」
「魔王様、別れた奥様が復縁したいとお手紙をくださいました!」
「なんと、それはまことか」
「魔王様ぁ!百年くらい前に紛失した魔族の宝が見つかりました!」
「おお、それはすごい」
「魔王様、魔王様、魔王城の前に人間の女性のファンがつめかけてきています。みんな美人でボインちゃんです!」
「ほうほう、そうかそうか」
「魔王様ああああああああああああ!百二十五歳のお誕生日おめでとうございますうううううう!我々はみんな、魔王様に心から感謝しております!」
「ありがとう、それは嬉しいな」
「魔王様、魔王様、魔王様!わたし、魔王様を愛しています。愛人でもいいので、一緒になってくだいませんか!?」
「な、なんと!?」
「魔王様、宝くじが当たりました、七億円です。これで老朽化進んだ魔王城も建て直せます!」
「おお、それはすばらしい!」
魔王は喜んだ。今日は、良い知らせがたくさん舞い込んでくる。なんと幸せな日であることか、と。
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