神と神獣と転生(side ラヴィーネ)

1/2
前へ
/194ページ
次へ

神と神獣と転生(side ラヴィーネ)

 気がついたら、知らない場所にいた。  爽やかな草の匂い。  清らかな空気。  ふわりとあたたかな風が吹き抜け、草原に咲く花が揺れている。  ここは、どこ?  周囲の様子をもっと探ろうとして、ボクの体を支えてくれている誰かの腕に気づく。  人間の腕、に見える。  ボク……人間に、抱えられているの? 「おはよう、よく眠れたか?」  その声は、頭の上から聞こえた。  ボクを膝の上に乗せて優しく毛繕いしてくれているのは、銀色の髪の優しそうな男の人。  でも、人間とは少し違う。  顔の横じゃなくて、頭の上に犬に似た耳がある。 「……お、は……よう?」  あれ、ボクって喋れたっけ?  ボクを抱えている男の人を見上げたまま、無意識に首をかしげていた。  人間みたいに声が出せたことに驚いたけれど、ボクに話しかけてきた男の人は、空みたいな青い瞳をしていて、ボクを愛おしそうに見つめている。 「肉体再構築は、無事に終わったようだな。神にもらった力は憶えているか?」 「かみ?」  言われて思い出す。  ボクは、異世界に転生したのだと。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加