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神と神獣と転生(side ラヴィーネ)
気がついたら、知らない場所にいた。
爽やかな草の匂い。
清らかな空気。
ふわりとあたたかな風が吹き抜け、草原に咲く花が揺れている。
ここは、どこ?
周囲の様子をもっと探ろうとして、ボクの体を支えてくれている誰かの腕に気づく。
人間の腕、に見える。
ボク……人間に、抱えられているの?
「おはよう、よく眠れたか?」
その声は、頭の上から聞こえた。
ボクを膝の上に乗せて優しく毛繕いしてくれているのは、銀色の髪の優しそうな男の人。
でも、人間とは少し違う。
顔の横じゃなくて、頭の上に犬に似た耳がある。
「……お、は……よう?」
あれ、ボクって喋れたっけ?
ボクを抱えている男の人を見上げたまま、無意識に首をかしげていた。
人間みたいに声が出せたことに驚いたけれど、ボクに話しかけてきた男の人は、空みたいな青い瞳をしていて、ボクを愛おしそうに見つめている。
「肉体再構築は、無事に終わったようだな。神にもらった力は憶えているか?」
「かみ?」
言われて思い出す。
ボクは、異世界に転生したのだと。
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