年配のお姉さんの言葉

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 パートの仕事が終わった夕方、帰り道にあるスーパーへ買い物(かいもん)に寄る。  買い物(かいもん)前の荷物は背中のリュックだけだったのが、買い物が終った時にはエコバック大が両手に一つずつプラス。夕方の買い物(かいもん)は、どうしてもお腹が空いていて、ついつい甘い物を買ってしまう。あと、我が家の小学生怪獣の二人…常にお腹を空かせているイガグリアタマノドン達のことを考えると更にいろんな物を買ってしまう夕方の買い物(かいもん)。  両手にエコバック大を一つずつ持ちながら、(この荷物で自転車に乗って帰れるん!?)と思いながらヨタヨタ駐輪場まで歩いていると、一人の年配のお姉さんに声を掛けられた。 「あら!沢山のお買い物(かいもん)しはってんね。重たそう!」 「あっ、はい、ムッチャ重いです。子供二人小学生の男の子なんで、よく食べて…牛乳も一日で二人で二パック近く飲むんで、ほぼ毎日買い物(かいもん)してます」 「イヤン!羨ましいわぁ~!そんなけの量を作らはんのは大変やけど、きっと楽しいご飯の時間になるんやろうねぇ。私、一人暮らしやし、買い物(かいもん)してもこのエコバックに入るだけ。これで一週間の買い物(かいもん)終わりやねん。羨ましいわぁ!…って、ごめんねぇ。引き留めてしまったわ。おうちで待ってはる息子ちゃん達に気を付けて帰ってあげて」 「あっ、はい。ありがとうございます。お姉さんもお気を付けて…」 「はーい、ありがとう~」 🥔 🧅🥕🍆🥦  十四~五年前、そんなやり取りをした時は、あの年配のお姉さんが言ってはった言葉の意味が分からへんかったけど、今なら分かる。二人の子供が家を巣立ちそれぞれの場所で一人暮らし。ダンナは単身赴任で、一人暮し。今家にいるのは私だけ。相変わらず同じ職場でパートとして働いてるし、相変わらず帰り道にあるスーパーへ買い物(かいもん)にも寄る。でも、変わってしまったことが一つ。それは、背中のリュック一つでことが足りるようになったこと。
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