知らない相手

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知らない相手

待ち合わせした場所から随分離れた所まで行って、「かっちゃん」にメッセージを送った。 <ごめんなさい 急用を思い出したので また後日にしてください お金は必ずお支払いします> すぐに返信が返ってきた。 <お金って何ですか?> <昨日のYUKIの支払いです> <それなら solitusさんがご自分で支払われてましたよ> <本当ですか?> 「solitus」はわたしのアカウント名だった。 つまり、この人もわたしの本当の名前は知らないみたい。 <レシートを握りしめてタクシーに乗るのを見ました> だったら……どうして「かっちゃん」は、わたしと会おうとしたんだろう? わたしはどうして「かっちゃん」と会う約束をしたんだろう? <昨日のこと覚えてないんですか?> 何か……しでかしてしまった? <僕は昨日あなたの彼氏になりました> 嘘…… 何て返したらいいのかわからないでいると、続けてメッセージが来た。 <やっぱり覚えていませんでしたか> <覚えていないです> <そうかなとは思っていました だいぶ酔っていらしたから> <ごめんなさい> <彼氏の話は冗談として 良かったら時々メッセージをやりとりしませんか?> 顔も覚えていない、何をしているのか、どんな人かもわからない相手と? <友達として> この人、何を考えてるんだろう? 何かの詐欺? でも、文章の感じでは普通の人のように思える。 <知らない相手の方が話しやすいことありませんか? 不愉快に思われたらいつでもブロックしてもらって結構です> <少し考えさせてください> そう返したものの、よくわからない相手と、例えメッセージだけとはいえ、やりとりする気なんてない。 少し時間を置いてから、無難なことを言って断ろう……
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