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会えませんか?
朝、会社の前で水戸さんが来るのを待った。
そして、エントランスに入る前に声をかけた。
「水戸さん、香奈のこと、ありがとう」
「香奈にゃん、会えて喜んでました。ちゃんと仲直りできたんですね」
「水戸さんのおかげ」
「香奈にゃん、館山さんとひどいケンカして、そのせいで館山さんが誰にも連絡先教えずに島根から出て行ったから、謝りたいって、KAMIKAZEのライブとか、オフ会のたびに会う子、会う子に『館山佑香って子知らない?』って聞いてまわってたらしいです。その話を聞いた時、もう何年も前のことって言うから、もういいんじゃない? って、わたしは思っちゃったけど」
「仲直りできたよ。でも、わたしが島根を出たのも、連絡先を教えなかったのも、全然別の理由。香奈のせいじゃないからね」
「理解です!」
水戸さんと一緒にエレベーターを降りたところで、カバンの中のスマホが振動したことに気がついたので、水戸さんと別れて休憩室に向かった。
わたしがメッセージアプリを使っていることを知っているのは限られた人だけ。
だから、きっとこれはかっちゃんから。
カバンからスマホを出すと、思った通り、かっちゃんからのメッセージだった。
<会えませんか?>
かっちゃんとは、一番最初に会う約束をしたものの、結局会えずに終わった。それ以来、一度も会おうと言われたことはない。
<急なので驚きました>
<今日 お時間ありませんか?>
<仕事の後なら>
<7時に天王駅前の噴水のところでどうでしょうか?>
<大丈夫です>
<お待ちしてます>
一体、どうしていきなり会おうなんて?
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