北極星

1/1

147人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ

北極星

昼休憩になって、朝から気になっていたことをマキちゃんに聞いた。 「ねぇ、上椙さんのこと、旦那さんは何て呼んでるの?」 「家で話に出るときは『上椙』って呼んでるけど?」 「そっか」 「何かあるの? って言うか、気になることがあるんだったら、佑香が自分で上椙くんに聞けばいいのに。連絡取ってるんでしょ」 「ねぇ、マキちゃん――」 席に戻ると、大西くんは何かの海外のサイトを読んでいた。 わたしが戻ったことに気がついたのか、話かけてきた。 「僕、本当はアプリの開発やりたかったんですよ」 「そうなの? でもそれだとうちの会社じゃできないね。企業のシステム開発しかしてないから」 「はい。だからこれからのこと真剣に考えるつもりでいます」 「それが本当に大西くんのやりたいことなら応援するよ。いつからだって、何度でも、きっとやり直すことはできるはずだから」 かっちゃんがわたしの背中を押してくれたこと。 かけてくれたたくさんの言葉。 わたしの北極星だと言ってくれたこと。 やり直せるなら、わたしには言わなければいけないことがある。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加