147人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
北極星
昼休憩になって、朝から気になっていたことをマキちゃんに聞いた。
「ねぇ、上椙さんのこと、旦那さんは何て呼んでるの?」
「家で話に出るときは『上椙』って呼んでるけど?」
「そっか」
「何かあるの? って言うか、気になることがあるんだったら、佑香が自分で上椙くんに聞けばいいのに。連絡取ってるんでしょ」
「ねぇ、マキちゃん――」
席に戻ると、大西くんは何かの海外のサイトを読んでいた。
わたしが戻ったことに気がついたのか、話かけてきた。
「僕、本当はアプリの開発やりたかったんですよ」
「そうなの? でもそれだとうちの会社じゃできないね。企業のシステム開発しかしてないから」
「はい。だからこれからのこと真剣に考えるつもりでいます」
「それが本当に大西くんのやりたいことなら応援するよ。いつからだって、何度でも、きっとやり直すことはできるはずだから」
かっちゃんがわたしの背中を押してくれたこと。
かけてくれたたくさんの言葉。
わたしの北極星だと言ってくれたこと。
やり直せるなら、わたしには言わなければいけないことがある。
最初のコメントを投稿しよう!