少しでも

1/1
148人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ

少しでも

仕事が終わってから、時間をかけてメイクをなおした。 それを見た吉田さんが、何かを察したのか、ヘアアイロンを貸してくれた。 それで濃いブラウンの髪の毛を巻いた。 少しでも、きれいに見えるように。 会社の最寄り駅に着くと、点検のため電車が遅れているというアナウンスが流れていた。 どうりでホームには人が溢れかえっている。 それでも、電車が30分くらい遅れていても余裕で約束の時間には間に合う。 これまでだったら、こんなアクシデントに見舞われたら、これから何か悪いことでも起こるんじゃないか、なんて思ったかもしれない。 でも、今日は、もう既にこんなアクシデントに合ったのだから、かっちゃんに会う時には何も悪いことなんて起こらないと思えた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!