僕は先輩を絶対に助けてみせる

1/1
前へ
/26ページ
次へ

僕は先輩を絶対に助けてみせる

「盗撮画像サイトの件です。この前の話では、肝心の盗撮画像がまだ見つからないんですね」 「そうだ。君に話した通りだ。逮捕した盗撮サイトの運営者、高橋岩雄のコンピューターやスマホも調べたし、記録メディアもチェックしたが見つからない」 「僕、分かります」  松山さんが驚いたように僕を見た。 「君、冗談を言ってるんじゃないね」 「いま、松山さんが話をしていた僕の祖父も、そして父も警察官でした。母も特捜検事でした。」 「それは分かっている。ところで君の目的は取引かい」 「月影先輩が色々とよくないことしてるのは知っています。でも被害者の人たちだって、あんまりいい人だちではなかったと思います。そうじゃないんですか? 盗撮画像が発見出来たら、月影先輩を取り調べる必要はなくなります。どうか釈放してください」    僕は必死だった。どうしても先輩を助けたかった。「どうして」と聞かれたら、キッパリとこう答える。   「青春の中で生きているから!」  青春の中で先輩に出会い、先輩の彼氏になりたいと思った。だからきっと先輩を助けてみせる。 「分かった。とにかく君の推理を聞かせて欲しい! 盗撮画像はどこにあるんだ?」 「ネットにはもう残っていません。画像は全てネットから削除されたんです」 「ちょっと待ってくれ。それじゃあ話にならんよ。お手上げじゃないか」  松山さんが吐き捨てるように言う。文さんが心配そうに、僕のことを、心配そうに見ていてくれる。  ここからが本番だ。  
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加