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僕は先輩を絶対に助けてみせる
「盗撮画像サイトの件です。この前の話では、肝心の盗撮画像がまだ見つからないんですね」
「そうだ。君に話した通りだ。逮捕した盗撮サイトの運営者、高橋岩雄のコンピューターやスマホも調べたし、記録メディアもチェックしたが見つからない」
「僕、分かります」
松山さんが驚いたように僕を見た。
「君、冗談を言ってるんじゃないね」
「いま、松山さんが話をしていた僕の祖父も、そして父も警察官でした。母も特捜検事でした。」
「それは分かっている。ところで君の目的は取引かい」
「月影先輩が色々とよくないことしてるのは知っています。でも被害者の人たちだって、あんまりいい人だちではなかったと思います。そうじゃないんですか? 盗撮画像が発見出来たら、月影先輩を取り調べる必要はなくなります。どうか釈放してください」
僕は必死だった。どうしても先輩を助けたかった。「どうして」と聞かれたら、キッパリとこう答える。
「青春の中で生きているから!」
青春の中で先輩に出会い、先輩の彼氏になりたいと思った。だからきっと先輩を助けてみせる。
「分かった。とにかく君の推理を聞かせて欲しい! 盗撮画像はどこにあるんだ?」
「ネットにはもう残っていません。画像は全てネットから削除されたんです」
「ちょっと待ってくれ。それじゃあ話にならんよ。お手上げじゃないか」
松山さんが吐き捨てるように言う。文さんが心配そうに、僕のことを、心配そうに見ていてくれる。
ここからが本番だ。
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