想いのすべてを君に

10/26
前へ
/26ページ
次へ
「無理だよ。こっちの世界には関与出来ない。 出来るのは君が課題をやり遂げて生き返らせる事だけなんだ。」 ならば 雫が願うのはただ一つ。 雅の幸せだけだ。 「雫の考えは分かるけど雅って奴の幸せは何? 今だと雫が助かる事だよな?仮に今の現状のまま生き返ってお前達幸せになれるの?」 雫の気持ちを見たのか、ユージンが告げる言葉に雫はハッとする。 確かに雅ならば雫が助かる事を願うだろう。 だが、生き返った先は? 両親から罵倒される雅の立場は変わらないし いくら雫が雅の事が好きだと訴えても許してなどもらえまい。 最悪、引き離される可能性もある。 雅も雫も背負うものが大きすぎる。 それを捨てる自由などないに等しい。 「この状況だとちょっと無理があるかもね」 ならば、他に選択できるのは何だった?
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加