想いのすべてを君に

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1つ。 誰かの幸せを願う事 2つ。 誰かの願い事を叶える事 3つ。 自分の1番大切だと思うものを手放す事 または同等のものを捨てる事。 ユージンが再度親指、人差し指、中指を順にを立てながら雫に説明する。 「つまり、1はダメだね。今の状況だと」 ユージンは首を横に振りながら親指を閉じた。 残りはあと2つ。 でも、2つ目も..... 「そうだね。雅に照準を合わせるならばダメだね。1と同じ事になる。」 残りの3は? 雫の1番大切なもの。 それは、雅だ。 「ユージン、手放すってどう言う事になるの?」 ユージンは雫をチラッと見て意味深に頷いた。 「雅を手放すと言う事は、彼の君への気持ちを捨てさせるという事だね。彼の中にある君の記憶を消すという意味で。もちろん君の記憶からも消えるよ。 1番大切なものだからね」 雅への気持ちを捨てる? 雅の中の自分が消える事よりも、雫は雅を想う気持ちが消えてなくなる方が恐ろしかった。 こんなに好きな気持ちも。 震えるほど嬉しい気持ちも。 無くなってしまうのか。 嫌だ。 雫には雅を好きになった事だけが生きてる証で、それが無くなるのならば屍のようなものだ。 心のない人間にはなりたくない。
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