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「あれは、君の恋人?」
ユージンが羽をバサリと動かして雫を見た。
「うん。」
なかなかいい男だね。
その場とは的外れな事を言う天使の言葉に、雫は呆れた顔でユージンを見た。きっとニヤついているのだろうと思っていたが彼の表情は変わらずただじっと雅達を見ているだけだ。
雫は再び雅の方へ視線を向けた。
雫の両親の前に跪き頭を下げて「会わせて下さい」と泣きながら懇願する彼に、両親は冷たい視線と罵倒を浴びせている。
雫は見合いの日だったのに
何故こんな事に
お前が唆したに違いない。
あの子は今まで自分達に逆らった事などないのだから。
おそらく雅は雫が事故にあった事を知ったのだろう。意識不明の重体ならばいつ死ぬかも分からない。せめて会わせて欲しいと願うに当たり関係性を聞かれたのかもしれない。
バカだな、雅。
きっと正直に話したのだろう。
元々隠していたのは雫のほうで雅はいつもオープンだった。彼の留学先の友人達に通話越しに紹介された事もある。
雫の事が好きなのを何で隠す必要あるの?
雅はいつもそう言って雫を困らせた。
でも、今なら雫も言える。
雅の事が大好きで
すごく大事。
だから、彼のそんな姿は耐えられず
ユージンに辞めさせてとお願いした。
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