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もしや、僕は死んだのか?
自分が目覚めた場所のせいなのか、はたまた現実世界にはあり得ない空間のせいなのか。
自分がいるただ真っ白な空間は地面がなく何故か空中に浮いたままポツンと1人いる自分の状況に戸惑いつつそっと心臓付近に手を当てる。
ドクン。と力強く鼓動を感じ自分の生命力が感じられホッと一息ついた。
「あぁ〜やっぱりマト外しちゃったか......」
頭上から呟きが聞こえ雫は顔を上げて声の人物に目を向けた。
あれって......
本物?
それともコスプレ?
「あ、これ作り物じゃないから。ちゃんと本物」
そう言うとその人物は背中に広がる物をバサッと動かした。
性別はたぶん男性だろうが白すぎる肌と妙に赤い唇。髪は金色に輝き容姿は美しいのにどこか作り物のように感じる。
何より、彼の背中には両側に白い羽毛が重なり広がっているそれは所謂羽ではないだろうか?
そう、彼はまるで......
「そう。俺は天使ってやつ。あってるよ」
綺麗な顔をした男が微笑むが、その笑顔の冷たさに寒気を感じ雫はブルっと震えた。
「あ、怖がらなくていいよ。君に危害を加える事はないから。」
「あ、あの.....僕は死んだんでしょうか?」
「ん?ん〜微妙。」
「微妙?」
「本当はね、君じゃなかったんだよね。俺も正式に天使になって3年くらいのペーペーだから外しちゃって。だから君は保留だね」
保留......
「本当はね、別の人だったのに、ごめんね」
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