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「教えてほしいことがあります」
怒り、憎悪、殺意。それらを無理やり押し殺して、つばめは尋ねる。
「皆さんが天上貴族……その人数は、ここにいる者で全員なんでしょうか?それに、皆さんは何故、この世界を支配することができるのです?神の一族ということは、神の力を持っているということなのでしょうか?」
「むふふふふふ、妾たちに興味を持つか。それも当然ではあるな。まあ、不思議に思うのも無理からぬこと。ここまで辿り着いた褒美じゃ、答えてやろう」
クリスティーナはその手に大きな籠を抱えていた。その中からカラフルなドーナツを取り出すと、もしゃもしゃと食べながら言う。
「妾たちは、生まれつきこのように体が大きい。力も強く、非常に丈夫である。どれくらい丈夫かというと……そなたらの世界にある、核兵器とやらで撃たれても傷一つつかぬ体と言えば、想像がつくかの?」
むぐ、とたっぷりチョコレートがかかった部分に噛みついて言うクリスティーナ。
「さらに、妾達は……そう、そちらの瑠璃香とやら」
す、と彼女は瑠璃香を指さした。
「そなたの持つスキルのように、体のサイズをこの標準サイズよりも大きくすることもできる。つまり?……妾たちが街を通り、陸を進むだけで、いくらでも下々の民を踏みつぶして遊ぶことができるということじゃ。妾たちにとってはお前たち普通の人間など、道端の蟻のような存在でのう?」
「……なるほど。それで、人々から恐れられていたと」
「左様。我らは元々、別の世界より降り立った神。この世界を与えられ、好きに統治してよいと言われておる身でな。そのような我らは好きに文明を栄させ、好きに衰退させ、好きに生かし殺すことができる。この命は永遠に尽きることもなく、異世界から自由に人を呼び寄せることも可能。あまりにも全知全能すぎて、生きることに飽き飽きするほどじゃ。人間どもはみんな我らに怯えてヘイコラするばかり、もはや昨今は我らを倒そうと頑張る者さえいない始末であるしな?」
「それで、暇つぶしに、異世界バトルロワイアルを開催したと」
「そういうことになる」
面白いゲームを語っているかのよう。彼女は一切の罪悪感の欠片もない様子で、にんまりと笑ってみせた。
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