響也

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「サバよんで働こっかなぁ」 姉二人と俺は年子。二人もそのうち家を出てくだろうが、親父が甘いから光熱費食費タダの家に寄生するのを止めない可能性がある。だったら俺が逃げ出すしかない。 暇だ。 知り合いのとこでネイルやってもらおうか。 モヤモヤしてたら正面フェンスの向こうでバスケしてるのが見えた。 惹きつけられたのはフェンス越しのTシャツの赤か、ゴールのネットだったのか。 フェンスの穴は大きい。そこから覗いてみる。 「1on1《ワンオンワン》か 」 友達同士じゃないのは何となく伝わる。 攻めてるのは赤シャツにバスパンの癖っ毛。 腰を低くしてフロントチェンジで対峙してる。 少し遠目でも分かる。ナチュラルなイケメン。たぶん天パだろう髪色はダークなのに太陽がやたら映える。相手がデカ過ぎて小柄に見えるけど170cm以上はありそう。敏捷な子鹿っぽい。
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