響也

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レッグスルーからフェイクでクロスオーバーで抜き去った。 「うまい!」 思わず声が出た。流れるようなレイアップシュートがネットを微かに揺らす。 フワッと舞うようなジャンプに目を奪われた。 その後もずっと赤シャツばかり追った。そのうちデカい相手はコートを去って、気付いたら赤シャツが目の前に立っていた。 あれ。いつの間にかフェンス越えてる。 「次、相手してくれる?」 「え? 何で?」 心臓が跳ねる。 「だってさっきからずっと見てる。好きなんだろ? やりたいんだよね?」 「え? ええ?」 きらきらした黒い瞳が下から見上げてくる。俺にやましい気持ちがあるからか、幼稚園児なみの純度にたじろいだ。
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