響也

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赤シャツがニコっと笑う。   熱くなってきた。今日は五月十一日。健全なスポーツ青年には最適の陽気と風だ。 でも、あいにく俺は不健全の塊。滴る汗はフェロモンに気化する。 「お前のゴールにタマをキメてやるよ」 赤シャツがバンビみたいな目と口を大きく開いて一瞬固まった。セクハラだけど反則じゃねえ。たぶん良く分かってねえし。 英訳ならFuck Youだしな。この程度じゃトラッシュトークにもならねえ。 その隙に体格差で押して奪い取り、ダンクもどきで押し込む。 ホントにタマをキメてやった。 けど奇跡は一回だけだった。イケない妄想を蹴散らす勢いでシュートを決めまくる。対決は赤シャツの圧勝で終わった。 「ああ……疲れた」 昼の運動不足で地面にヘタると汗を拭うように風が撫でる。柄じゃない爽やかな気分で満たされる。悪くない。
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