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「俺のアイデンティティ返せよ」
って吐いたら涼し気な顔でポカリを飲んでた赤シャツが目を丸くする。
「──ああ、ええと。名前聞いていい?」
アイデンティティってそれじゃねえよ。
「玲央だよ」
めんどくせーから名乗る。この状況もバンビも全部めんどくせー。
「俺は須坂響也」
「へえ……帰る」
汗がひくと同時に俺らしさが戻ってきた。ここにいたら、アイデンティティをどんどん奪われちまう。
「あ、ちょっと待って」
いきなり響也が俺の前で屈んだ。
項に汗粒が光ってる。俯いたナイキのシャツの首元が大きく開いて細い鎖骨と乳首まで拝めた。
急激に渇いて唇を舐める。
性嗜好を改めて自認する。
だけど次の瞬間。
ドクン──
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