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連絡先も聞けず別れてから、後悔と興奮と放心状態で一日過ごした。
ずっと響也とのやり取りを巻き戻して再生し続けて、翌週になって同級生と知った。
「お前、同じ高校だったのかよ」
「俺は知ってたけど。日下部は目立つから」
「あんときは何も言ってなかっただろ」
「下の名前は知らなかった」
心臓はバクバク踊ってんのに、淡々と再会の言葉を交わす。
その日から響也を目で追い続けた。だから頻繁に視線が合い、響也の側に出没するうちに友だちになって。
するっと入ってくる。
挿れたいのは俺なのに、響也から入ってくる。
「お前、オクラみてえ」
響也の箸で摘まれた弁当のオクラを見て呟く。
「オクラ? 俺が? 独特だよなぁ。そういうとこがセンスなんだろうな。玲央は何でも持っててモテて羨まし過ぎ」
あまり羨ましそうに見えない響也の様子にホッとしてカレーパンを食らう。
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