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真夜中の来訪者
二十四歳の俺は色々な点で駆け出しだった。
ともかくビッチで暴君な姉二人と存在感幽霊並な親父を頼りたくなくて。
スタイリストっていう職業柄少し気張って猿楽町の築40年の激狭アパートで暮らしてた。
ピンポーン
深夜近くに鳴らされたインタフォン。
開ける前から予感があった。
「わりい。玲央ーー泊めてくれえ」
ドアを開けるなり腕の中に倒れ込んできた高校の時からの「親友」 須坂響也。
「酒くさ……」
響也のシルバーピアスの耳下から香る、天然の肌の匂いに交じる不純な香り。
「女、か。結婚すんだろ?」
「お前に言われたかね〜〜よ。お前も来れば良かった。なあ、なんで式にも二次会にも出てくんねーんだよ」
いきなり泣き始めた。泥酔すると泣きに入るメンドーなタイプ。
「仕事だっつっただろ。ウゼえな。激しくウゼえ。ともかくこっち来い」
差し伸べた俺の手を振り払うと響也はいきなりシンクの蛇口から直飲みした。
男二人で寛げるスペースはほとんどない。響也がベッドに倒れ込む。
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